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10月23日(木)
まったく久しぶりの日記である。先週はハードボイルドに招待され、すごく楽しんできた。
今日は職場の野球部で全国大会のため大阪へやって来た。行きの新幹線からどこか調子が悪くて、飯を食べる気も起きず、指一本でも触れられれば吐きそうなところまでになり、新大阪へ着いたときには左目が見えなくなった。この症状は一年ほど前からたまに出ていて、この夏の遠征でも苦まされた。宿泊先のホテルに着いてまっすぐベッドに横たわるも、痛みで眠られず、フロントに電話をし、頭痛薬をもらった。初めて飲んだバファリン。空腹時だったからなのかも知れない。死ぬ思いをした。
服薬して、ペットボトルのミネラルウォーターをベッドの右に置き、布団をかぶって眠りに就こうとした。最初は痛みに耐えていたが、前もって呼んでいた46歳のセラピスト(彼女はなにも言わなかったが、確かに46歳だった)のささやきの効果でそのうち眠りの中へ。お前は眠れる、眉間に皺を寄せて見なさい。お前は眠れる。夢の中では原付自転車に乗って漆黒の夜道を走っていた。ランプがつかないバイクにのる顔だけのおばあさんが並走してきたり、ぶつかってきたり。
でもそのうちあまりの痛みに目が覚め、また苦しくなって呻いて、46歳のセラピストはいなくなっていたので、自分でベッドの横に置いておいた水を取り大量に口に含ませたが、口が閉じなくて舌と喉がのみこもうとする動きをしない。手も動かない。苦しくなってベッドの上で吐いた、と思ったら尿ももらす。体がいうことをきかない、眉間に寄った皺も戻らない。もう死ぬ。明日の試合は出られないからみんな喪章をつけて戦ってくれと思ったところ、組み合わせ抽選会から帰って来たキャプテンの声で「松山チームとやるぞ」。それで目が覚め、からっからの喉に気がついて、水を飲もうとしたら、水は少しも減っていなかった。口も服も布団も汚れていなかった。恐怖の夢から覚めてもなお左目がチカチカしてよく見えないし、いま自分が生きているか不明だ。ひょっとしたらいま書いているこの日記も夢でしかないかもしれない。
断定はできないが、いまが現実だと仮定して思いを巡らすと、夢の中で夢をみていたらしい。しかし現実と一次元目の夢の状況があの46歳のセラピストを除いてすべて同じだったため、現実がどれだか錯乱してしまった。眠るのが恐ろしくもあるが、酒を飲んで知らぬ間に眠ろう。

10月25日(土)
頭痛に悩まされたおとといの夜は無事に眠ることができ、昨日は素振りをすると頭がすこしズキンと痛むものの野球ができた。一回戦は松山と戦い3対0。二回戦は舞鶴と戦い6対0。そして今日の準決勝は4対0、決勝は2対1と勝ち続け、全国優勝を果たした。僕は大会通算10打席7打数2安打3犠打で自分の持っている力よりも結果を出すことができたような気がする。なにより4試合ともフル出場できたことはうれしかった。試合が終わるごとに疲労で筋肉が硬くなってしまい、次の試合で動けるか不安になったが、アドレナリンというのは不思議なもので試合が始まると動けるんだな。試合に対する思い、勝ちたいという空気の醸成が大事だと実感した。バンドでも仕事でもこの経験を活かしたい。



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