自発的特性転移
自発的特性転移(spontaneous trait transference)とは、他人の特性について話すとき、その特性を自分自身にも持っていると錯覚してしまう心理学的な現象です。例えば、他人のことを「賢い」と話すとき、自分自身も「賢い」と錯覚することがあります。
自発的特性転移は、1982年にアメリカの心理学者であるセルビーグ(Solomon E. Asch)によって初めて報告されました。セルビーグは、被験者に他人の特性について話すように指示しました。その結果、被験者は他人の特性について話すほど、自分自身にもその特性を持っていると錯覚する傾向があることがわかりました。
自発的特性転移は、いくつかの理由で起こると考えられています。一つの理由は、他人の特性について話すとき、その特性を自分自身に投影してしまうためです。例えば、他人のことを「優しい」と話すとき、自分自身も「優しい」と感じるようになり、その特性を自分自身に投影してしまうのです。
もう一つの理由は、他人の特性について話すとき、自分自身をその特性に関連付けてしまうためです。例えば、他人のことを「賢い」と話すとき、自分自身も「賢い」人と関連付けようとします。その結果、自分自身も「賢い」と錯覚してしまうのです。
自発的特性転移は、人間関係において重要な役割を果たしています。例えば、他人の良いところを褒めるとき、自発的特性転移によって、自分自身も良いところを持ち合わせていると錯覚するようになります。その結果、自分自身をより肯定的に捉え、より自信を持てるようになるのです。
自発的特性転移は、ネガティブな影響を与えることもあります。例えば、他人の悪いところを話すとき、自発的特性転移によって、自分自身も悪いところを持ち合わせていると錯覚するようになります。その結果、自分自身をより否定的に捉え、より自信を失うようになるのです。
自発的特性転移は、人間関係において重要な役割を果たしていますが、その影響は良い場合もあれば悪い場合もあります。自発的特性転移を理解し、上手に利用することで、人間関係をより円滑に進めることができるでしょう。
参考URL:
「問題を指摘する人」に問題があると思い込む心理バイアス「自発的特性転移」が陰謀論を生んでいるという主張 - GIGAZINE
誰もが知りたい心理学用語