対応バイアス
対応バイアス(correspondence bias)とは、人の行動を理解する際に、その人の内面的な特徴(性格、能力、動機など)を重視し、状況的な要因を軽視する傾向です。
対応バイアスは、1977年にアメリカの心理学者であるアーネスト・ロッスによって提唱されました。ロッスは、クイズの実験を行い、クイズの出題者を回答者よりも知的であると評価する傾向があることを発見しました。これは、出題者の方がクイズを出すために必要な知識や能力を持っていると考えられたためです。
対応バイアスは、日常生活においても多くの場面で見られます。例えば、
* 遅刻した人を、責任感がないと考えてしまう。
* 失敗した人を、能力がないと考えてしまう。
* 転職した人を、向上心がないと考えてしまう。
このような場合、遅刻や失敗、転職の原因は、状況的な要因(交通機関の遅延、仕事のミス、会社の倒産など)が考えられます。しかし、対応バイアスによって、これらの原因を軽視し、個人の性格や能力に原因を求めてしまうことがあります。
対応バイアスは、人間の認知的な偏りによって生じます。人間は、情報を処理する際に、効率的に判断するために、ヒューリスティックと呼ばれる、簡単なルールや手順を用います。対応バイアスも、ヒューリスティックの一つです。対応バイアスは、多くの場合、正しい判断につながりますが、状況によっては、誤った判断につながることもあります。
対応バイアスを減らすためには、状況的な要因を十分に考慮することが重要です。また、自分の判断に疑問を持ったときは、他の人の意見を聞いたり、情報を集めたりするようにしましょう。
対応バイアスは、人間の認知的な偏りによって生じますが、意識することで減らすことができます。対応バイアスを減らすことで、より正確な判断をできるようになり、より良い人生を送ることができるでしょう。
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