ハイダーのバランス理論
ハイダーのバランス理論とは、1958年にアメリカの社会心理学者であるフリッツ・ハイダーによって提唱された理論です。この理論は、人間はバランスの取れた状態を好む傾向にあると仮定し、3者の関係性において、バランスが崩れた状態を不快に感じ、バランスをとろうとする行動をとるとしています。
具体的には、自分(P)、他者(O)、事物(X)の3者の関係性において、PとOの関係が好意的で、OとXの関係も好意的であれば、PとXの関係も好意的であると考えられます。一方、PとOの関係が好意的で、OとXの関係が敵対的であれば、PとXの関係も敵対的であると考えられます。このように、3者の関係性において、好意的・敵対的な関係がすべて一致している状態を「バランス状態」と呼び、それ以外を「不バランス状態」と呼びます。
ハイダーのバランス理論では、不バランス状態は、人間にとって不快な状態であるため、バランス状態に回帰しようとする行動をとるとしています。具体的には、以下の3つの方法でバランス状態を回復しようとします。
* PとOの関係を変更する
* OとXの関係を変更する
* PとXの関係を変更する
例えば、自分と親友が好きな映画が違う場合、自分は親友と映画について話すことに抵抗を感じます。これは、親友と自分との間に、映画に関する好意的・敵対的な関係が一致していないためです。このような場合、自分は親友と映画について話す頻度を減らしたり、親友が好きな映画を観るようにしたりすることで、バランス状態を回復しようとします。
ハイダーのバランス理論は、人間の認知や行動を理解する上で重要な理論です。この理論は、マーケティングや広告、政治などの分野で応用されています。例えば、商品を販売する際には、商品のターゲットとなる顧客と商品の関係を分析し、バランス状態を保つようなマーケティング活動を行うことで、商品の販売を促進することができます。
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