第十四章 〜 S極とN極 〜
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「いつきスゴイよ、よくペラペラ話せるね。」
「そりゃそうだよ!ようやく始められるんだぞ?俺、昨日からずっと楽しみにしてたんだ!それにさ・・・実は・・・もう音楽室にカセットデッキ隠してあるんだ。磯野さんにピストルズ聞いて欲しくてさ。」
そう話すいつきの顔は本当に嬉しいって見た人全員が分かるような笑顔だった。音楽室へ着くと、カーテンの下からカセットデッキを取り出した。
「磯野さんこれ貸すよ。ちょっと大きいけど、勘弁してね。大丈夫、帰りはせいたろうが持ってくれるから!ちょっと磯野さんには重いし大きいもんな。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕が持っていくの?」
「そりゃそうだよ、家だって近くなんだろ?暑いし、こんなの磯野さんに持って帰らせられないだろ。」
「も、もちろんいいけど・・・」
「磯野さんだってそっちの方がいいでしょ?」
反応は無かったけど、いつきはかまわずカセットを用意していた。
「よし・・・・っと。いくぞ。」