第十四章 〜 S極とN極 〜
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「ははは、あっ、そうだ。名前だよ、名前!バンド名決めないとな。まずは名前決めるところから始めないと。なんだろうな、自分たちを変える、今までの価値観を変えるっていうかさ。例えばさ・・・・方舟ピストルズとか!」
「絶対イヤだよ、ただのマネじゃないか。」
「じゃぁ・・・ノアとアダムとイブ!」
「なんだよそれ・・・ちゃんと考えてよ。」
「じゃぁ・・・方舟スリー!」
「かっこ悪いよ・・・いきなり決まる訳ないよ。それに磯野さんにだって聞いてみてよ。僕に聞かなくていいよ。まだ入るか決めて無いんだ。」
「なんかあるかなぁ、3人だから!この3人だからこそ!みたいな名前さぁ」
そう言って磯野さんを見ると、しばらくジッとしていたけど、何かを書き始めた。ギターをヒザに乗せて壁に寄りかかってたいつきも、ドラムセットの横にいた僕も、考えつかないってことを伝えてくるんだとばっかり思ってた。見せてくれたノートを、僕らは何気なく見た。
『 世界ズ 』