小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十四章 S極とN極

目次はこちら

第十四章 〜 S極とN極 〜
P.10 

「こんな感じ。でもさ、俺たちがするのってオリジナルだから簡単なコードでいいんだよ。自分だちがいいって思うメロディーを弾いて、自分たちが思うリズムを叩けばいいだけなんだ・・・簡単だろ?」

「・・・うん。」

「・・・あっ!」

いつきがゴミ箱に目をやる。すると、そこには大分擦り減っているスティックが捨てられていた。

「やった、吹奏楽のヤツ等が捨てたスティックあんじゃん!まだ使えるよこれ!磯野さん、これ持ってみて。」

磯野さんがスティックを持つ。女の子とドラム。細い磯野さんがドラムセットに座っていると、余計に細さが目立った。

「足は、そのペダルを踏んでさ、右足がそこで、左足が・・・・そう、そこ。さっき言ったハイハットを右手で・・・クロスするように・・・叩いてみてよ。」

チッチッチ・・・タンッタンッ・・・

「そうそう、それで足入れるの。ドンドンって」

チッチッチ、ドンドン、タンッタンッ、

小さい音で、無茶苦茶なリズムだったけど、磯野さんはドラムを叩いた。いつきがそれに合わせてギターを弾いた。かっこいい、二人の演奏を見ていると心からそう思った。

次のページ

ページ: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15