小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十四章 S極とN極

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第十四章 〜 S極とN極 〜
P.3 

女子の着替えが終わって教室へ戻ってホームルームをする。もうすぐ来る夏休み。夜遊びをしないだとか、お祭りで犯罪に巻き込まれないようにとか、おじいちゃんが説明をしている。皆がそれぞれ近くの席の友達と話しているけど、僕と磯野さんは二人、ただ黙って過ごしていた。
昨日の出来事がまだ頭から離れない。いつきがいない時にちゃんと謝らないといけない。今日の帰りに言おう。・・・でも、でも、明日の登校はどうなるんだ?また一緒に行くんだろうか。磯野さんと登校するのはイヤじゃない。だって、あの顔。見たらたぶん、いや、絶対、男子なら全員が一緒に登校したがるに違いない。僕だって、嬉しいし、ドキドキする。でも、なぜか、磯野さんと一緒にいると不思議な気持ちになるんだ。そうだ、帰りに職員室へ行くこと、音楽室へ行くことを伝えなきゃ。

「・・・あ、あの、磯野さん・・・」

横顔を見ながら、勇気を出して話しかける。

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