第四章 〜エレクトリック〜
P.13
「言ったろ?俺はクズだって。もう誰を信じていいかなんか分からないんだ。新しい友達なんか・・・・・いや、友達なんか生まれてから出来たこと無いんだ。この町にいる限り、俺が工場長の一人息子から逃げられる訳無いんだ。だから・・・」
「そんなの知る訳ないだろ!お前の苦労なんかどうでもいい!教えてやろうか?お前はただのボンボンなんかじゃない!ただの弱虫の変態野郎だ!なにがセックスだ!なにがバンドだ!人をバカにするのもいい加減にしろよ!もういい、お前こそ僕に二度と関わるな、二度と見たくない。今度は僕がお前を脅す番だ!次に僕をはめてみろ!お前がどんなことをしてきたかって、どんな奴かってどんなことをしても町中に知らせる!何がキーだ!なにがカギだ!なにがいつきだ!なにがいつきなんだよ!!!なんでもクソも無いよ!そんなに知りたいんだったら教えてやろうか?お前が方舟なんだ!お前自身が方舟なんだよ!そうだろ!だからみんな運ばれて来るんだ!分かったか?!皆連れてどこか行っちゃえよ!!」
気付いたら立ち上がっていつきを見ていた。息があがっている。肩で息をしている。
心臓の鼓動で体が揺れているように。でもそんな僕とは対象的に、いつきが見たことも無い顔で、僕を見て、こんなキャシャな体にどこにそんな力があるのかってくらい強く僕の肩に手を当てた。いつきが喋ったのか、方舟の振動か、声が聴こえた。
「・・・・・・アダム。」