第四章 〜エレクトリック〜
P.7
いつきの目がこっちを向く。もう透き通るような目をしていなかった。二人で屋上へ向かう。体育着を持って僕が歩く。すぐ後ろをいつきがついてくる。屋上の扉を開けると風が強くなっていた、雲が町を移動しているのがわかる。周りを見渡すと、何人か、何組かのグループが集まってお弁当を食べている。遊んでる人もいるけど、幸い、数組だった。何人かがこちらを見ている、いつきがいるからだろうけど、僕の異様なまでの真剣な顔を見て、何かを察したのか、すぐに見るのをやめた。
一番奥に進む。タンクで日陰になっているので、まだ寒いこの時期には人がいないから。ここなら他の生徒にも話し声は届かない。クタクタになっている僕が柵にもたれかかって倒れるように座る。いつきは立ったままだ。風がいつきの髪を揺らしている、表情は分からない。お互い目を合わせようとはしなかった。
「・・・・そんなにセックスに興味持ってんの知らなかったよ。」
思わず出た言葉がそれだった。本当は出る時のパスワードを聞こうと思っていたはずなのに、出た言葉がセックスだった。僕は自分でも不思議で急に恥ずかしくなった。でも、もうどうにもならない。いつきはびっくりして答えた。
「・・・セ、セックス?なんだよそれ」
後戻りできなくて僕は続けるしかなかった。