小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第四章 エレクトリック

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第四章 〜エレクトリック〜
P.12 

聞いてると頭がおかしくなりそうだった。生まれてきて、今朝の今朝までいつきのことはただの工場長の息子だって思ってた。威張らないし、大人しい、ただのボンボンだと思ってたのに。僕の目の前で山並みを見てるコイツが今まで何人も地獄に落として来ただって?・・・でもなんで、僕がはめられた?

「ちょっと待ってよ、納得出来ない!イジメた奴らはいいとして、なんで僕がはめられないといけないんだよ。君のことなんか興味無いし、何にも媚なんか売ってなかったろ!なんで僕まで閉じ込めようとしたんだ!」

体育着を手すりに投げつける。振動が音になって、屋上に響く。方舟と共振しているようだった。周りの生徒もこっちを見る。けど、すぐに見るのをやめる。やっぱり、僕の異様なまでの真剣な顔か、いつきがいたからか。今ではもう確かめられない。

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