第四章 〜エレクトリック〜
P.4
すると、ゲートが開き始めた。声が聞こえたらしく警備員室が騒がしくなっている。
「カギ ヲ ナクサナイデ サヨナラ アダム」
なんのことだ?なんのことを言ってるんだ、僕が正解を言ったのか?音とともに、目の前に見慣れた景色が広がってきた。数年ぶりに見るような感覚。土や山、そして畑が目の前に広がる。僕は風になったように飛び出した。
ゲートが閉まる直前に後ろから警備員の声が聞こえたような気がした。次に開く前に隠れなければいけない。畑の道をただ走った。ただ、ただ。息はもう続かないけれど走った。一番近くの家の垣根にようやく入れた。もうここからは方舟の死角で学校まで行ける。汗だくになりながら垣根の隙間から振り返ったその時、ゲートが開いて数人の警備員が出てくる。何か話しているようだ。しかし、誰もいないことを確認して中へ戻っていった。
助かった。命がつながった。