第四章 〜エレクトリック〜
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いや、もういい、早くここから出よう。僕は体育着をバッグに入れて誰もいないことを確認しながら逃げるように部屋を抜け出して隠れるように家を出る。
玄関を出て見渡してみる。よし、警備員も誰もいない。数十メートル先のゲートに向かってかがんで進む。今度は警備員室には目もくれない。早くここから出たくてしょうがなかった。でも・・・でも、ゲートについてあることに気づいた。
出る時のパスワードは?
いつきから聞いていない。いつきから何も聞いてない・・・。あいつ、出る時のことは何にも言ってないじゃないか。息の上がってボウゼンと立ちすくむ僕に、方舟が話しかける。
「ミツカリマシタカ?」