第十七章 〜 スメル ライク イブ 〜
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結局、この後、ピストルズを聴いて、お茶を飲んで、磯野さんは帰ることになった。
「せいたろう、ちゃんと送っていってあげなさいよ?」
「う、うん・・・じゃぁ行ってくる」
『 美味しいお茶、本当にありがとうございました。 』というメモをお母さんに見せて磯野さんはヘルメットをかぶって家を出た。
磯野さんの家までは、たぶん10分もかからない。今日は曇っているせいか、日が暮れるのが早く感じる。だいぶ薄暗くなっていた。特に磯野さんの家は山のふもとだし、特に暗かった。玄関まで送ると、門灯がついていた。
すると、磯野さんが、慌ててノートを出して何か書こうとしている。その時だった。中から、男の人が出てきた。