第十七章 〜 スメル ライク イブ 〜
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お母さんに深くおじぎをして、磯野さんが入ってきた。こんな時、何をすればいいのか、ただの友達のはずなのに、この心臓のドキドキはいつきとのあの出会いとは全く違う感じだった。お母さんを台所へ急いで戻し、居間に置いてあるカセットデッキを移動させる。
「す、座って。こ、これ古いけど、ちゃんと聞けるんだ。普段は野球くらいしか聞かないんだけど。いま、ピストルズ用意するから・・・あっ、バッグそこら辺においていいから。」
慌てて二階に走ってピストルズのテープを持ってくる、机の引き出しから借りたテープを探す。最初何回か聴いたけど、ここ数日は聴いていなかった。走るように一階に戻ると、お母さんがお茶を出していた。