小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十五章 ホーム

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第十五章 〜 ホーム 〜
P.6 

世界を変えたいと思ったことありますか?

「・・・世界を変える?」

その文章の上の行には、何度も何度も横線で書き直された文章が並んでいる。

「はは、今だよ。僕、さっきから何言ってんだろうね・・・今世界を変えたいよ。意味分からないことばっか言ってる自分を変えたいよ・・・はは・・・」

私も変えたい。自分を。世界ズで。

「・・・自分を?」

ミンミンゼミが鳴いている柿の木の下で僕は、初めて磯野さんと話せた気がした。初めて会話をした。普通の会話。カセットデッキを持って歩き始めた僕は、磯野さんが自分を変えたいという意味と、腕の傷が何なのか、余計に分からなくなっていた。自分を変えたい?喋れない自分を?キズと関係あるのか?なんで変えたいんだろう、何が変わりたいんだろう。

昨日と同じ帰り道だけど、僕はドキドキしていた。今まで、女の子の友達がいなかったのと、今まで女子と普通の会話もしたことが無い僕は、女の子の友達が出来て嬉しかったのかもしれないし、もしかしたら・・・いや・・・違う。

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