第十五章 〜 ホーム 〜
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「あの・・・さ・・・」
何度もカセットデッキを持ち直しながら話す。暑さのせいもあって、汗だくだった。
「あの・・・昨日言ったことだけど・・・あれ、授業中に・・・。」
磯野さんがバッグからノートを取り出す気配は無かった。両手でバッグを持ちながら僕の横を少し離れながら歩いている。僕が下を向いて歩いていると、僕より少しだけ小さい磯野さんだから、ほぼ一緒の身長になる。
「あの・・・ごめん・・・ごめんね・・・変なこと言っちゃって・・・気にしないでいいから。僕、時々変なこと言うクセがあってさ・・・思ったこと口に出しちゃうんだ・・・なんか、気にしてそうだったから・・・遅くなってごめん・・・もし、気にしてたらと思って・・・」
ようやく言えたけど、僕は緊張のしすぎと、二人のその静かな帰り道が耐えられなかった。