第十五章 〜 ホーム 〜
P.4
「でもさ、なんでバンドやろうと思ったの?本当言うとね、僕もしたいって少しだけ思うんだ、いつきには内緒だよ。でも、人の前で唄を歌ったりギター弾いたりって思うだけで緊張しちゃうんだよ。磯野さんはそういうの平気?」
ようやく書き終えたノート。
『 手首のキズ渡辺くんに言わないでありがとう
私が野崎くんにお礼を言わなくちゃいけなかったのに
遅れてごめんなさい 』
「・・・お礼って?そんなこと、いつきに言うことじゃないし、お礼なんか言わなくていいよ。それより、僕の方が磯野さんをキズつけちゃったんじゃないかってずっと気になってて・・・本当にごめんね、変なこと言っちゃって。でも、キズ大丈夫なの?この町には大きな病院とか無いからバスで行かなくちゃいけないんだ、結構時間かかるから大変かもしれないよ。」
磯野さんは少し、迷っているみたいに見えた。次に書き出すまで時間がかかってた。相変わらず磯野さんの顔は見えないけど、そう思った。
『 野崎くんは、私のことどう思いますか? 』
「えっ?」
見えてくれた文字にビックリした。どう思うかなんて、そんなこと女子から言われたことの無い僕は、本当にビックリした。頭の中が真っ白になって、また汗だくになった。これってどういう意味なんだろう、なんて言えばいいんだ・・・