第十五章 〜 ホーム 〜
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「あの子でしょ?昨日傘貸してあげた子って。顔は見えないし、髪の毛はスゴイ色しているし、不良なの?あなた、そんな子と仲良くなっているの?」
「不良なんかじゃないよ。髪の毛だって、染めてるんじゃない。自然にあの色になったんだってさ。磯野さんは話すことが出来ないんだ。だから買い物だってメモでやってるんだよ。それだけじゃないか、母さんに何かした訳じゃないでしょ?」
「自然にあの髪の色している訳?なんでなの?それに話せないってどういうこと?何かあったの?どんな子かは言わないし、お母さん恥かいちゃったわよ。ちゃんと説明しなさい」
「どんな子だって言われても普通じゃないか!普通の女の子だよ、ただ髪の毛が灰色だったり話せないだけだよ。しっかりしているし普通だよ。」
「普通って、あなた顔見たの?前髪で隠したりするなんて普通じゃないわよ。髪の毛があんな色だったり、話せないって普通じゃないじゃない、一体どうしてなの?」
「だから知らないんだってば、今は話せないって先生言ってたし、なにかあるんじゃないの?それに転校してきたばっかだし、僕だって知らないよ。話せなくたって、髪の毛が何色だって、普通に過ごしてるし、僕と何も変わらないよ。」
「変わらないってあなた・・・」
「好きであの髪色になってる訳じゃないし、好きで話せない訳じゃないんだ。だからそっとしておいてあげてよ。学校でだって、皆に見られて町でも皆に見られてたら可愛そうじゃないか、僕なんか友達も少ないし、運動も勉強も出来ない。僕の方が普通じゃないだろ?もういいでしょ?部屋に戻るよ。」
「友達だったら、なおさら聞けるでしょ?なんで話せないか、なんで髪の毛の色が違うのかって。」