第十五章 〜 ホーム 〜
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自分の家の前についた。
「じゃ、じゃぁ、また明日ね。考えてみる、バンドのこと。自分を変えれるかもって思ったら、僕も少しやりたくなってきたから。
でも、いつきにはまだ言わないでね。まだ考えたいんだ。ギター弾いたり歌ったりってやっぱり恥ずかしいし、まだ想像出来ないからさ。」
磯野さんは少しだけお辞儀をして商店街の方へ向かっていった。薄暗くなった町のあぜ道を進んでいく。一度も振り向くことは無かったけど、僕は遠くに小さくなるまで動けずにいた。
家について、部屋で着替えている時も、今日の出来事がウソみたいに、夢のようで実感が無かった。バンドをやることになったら、磯野さんとこれから一緒に練習したり、一緒に唄を作ったりするのか・・・
ボーっと考えていると、玄関が開いた音がする。母さんが帰ってきた。
「せいたろう!いるの?せいたろう、降りてきなさい。ちょっと聞きたいことがあるの。」
階段を降りていくと、母さんが買い物袋を持ったまま、真剣な顔で立っていた。