第十三章 〜 ハグルマ 〜
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「でもどうしようかなぁ・・・・ドラムセットって音楽室にボロボロのがあるけど、吹奏楽部とかが使ってるしなぁ。俺たち部活に入ってる訳じゃないから先生に言っても週に1日か2日くらいしか使えないかもしれないな。
せいたろうのギターだって、音楽室のアコースティックギター借りないと駄目だろ?父さんに言えばドラムセット買ってくれるかも知れないけど、あれっていくらくらいすんのかなぁ。今日さ、放課後にお爺ちゃんのトコ行ってみようぜ。あれでも先生だし、相談すれば何か助けてくれるかもしれないしな。」
「うん・・・」
僕はカラ返事をして黙ってお弁当を食べた。磯野さんの食べ方はとても変わっていた。お箸でご飯を取るまでは一緒なのに、髪の毛で口が隠れているからお箸を立てて口まで運んでいた。そして風が吹いても、昨日のようによっぽどの突風が吹かない限り、顔が見えることは無かった。