第十三章 〜 ハグルマ 〜
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歩いていく。トラクターも通れる広いあぜ道。前のほうに何人か生徒が見える。後ろを振り向くと一人、二人、一緒に通学している生徒もいる。
磯野さんとは距離があるのに、二人同じペースで横に歩いていたから余計に目立ってた。でも、その時は、いつきが言ってたように、昨日転校してきて、友達もいない、髪色、皆が見にくる。もし、自分だったらって思うと、何か話しかけないといけないって思ってた。でも、どうしていいか、何を話せばいいのか分からなかった。
「あの・・・暑くないの?今日も暑いよね・・・僕、暑がりだから、もう汗すごいよ・・・」
反応は無かった。でも、無言で一緒に歩くことに緊張して、ずっと話しかけていた気がする。今日は何の授業がある、この教科の先生はこわい、学校の七不思議・・・・でも本当に話したいこと、謝りたいことや、バンドのことは言えなかった。その時も夢のような気がしてたから。