第十三章 〜 ハグルマ 〜
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学校の校門近くになると、周りのあぜ道からどんどんと生徒が増えてくる。1年生や3年生。近くの中学校、小学校の子たちも皆、皆、磯野さんを見ている。そして何か話している。
もうその時には、僕は自分のことしか考えていなかった。回りからどう思われているのか、自分のことしか考えてなかった。自分のことしか。磯野さんがどれだけ不安でいるか、皆の視線や会話が聞こえてて、どう思われているのかを感じることがどれだけ辛いか。それを感じていれば。って、今なら思うんだ。
教室へ着く時、僕は最初から一人で来たように、早足で教室へ入った。磯野さんは少しあとから教室へ入ってきた。僕のうしろを通って、隣りの窓際の席へつく。登校しているクラスメイトは各グループごとに集まって、磯野さんを見ては、何か話してる。その時も、僕はみんなの話の中に、僕の名前が出て来ていないか、二人が付き合っているんじゃないかってウワサになっているんじゃないか。そのことだけ、頭の中で渦巻いていた。