第十三章 〜 ハグルマ 〜
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「そうだ、いつき、もうすぐ夏休みだけど、前言ってたお祭りって行けるの?僕は毎年家族で行ってるけど、今年は一緒に行く?」
「そうだ、夏祭りか・・・行けるよ。クラスメイトにも誘われてるけどさ、あんなウワベだけの連中と行くなんて絶対いやだから今まで行かなかったけど、今年はせいたろうも磯野さんもいるし行こうかな。磯野さんも夏祭り一緒に行けるでしょ?」
『 分かりません。お父さんに相談してみます。』
「いけたらいいよなぁ。バンドメンバーで思い出作るってかっこいいじゃんか。よく雑誌で載ってるもんなぁ。」
お弁当を食べ終えたいつきは、バッグを枕に横になった。磯野さんはゆっくりとまだお弁当を食べている。もう日差しがいたいくらい。空には小さな白い、真っ白なカルピスが垂れたような雲が何個が浮かんでいた。
磯野さんがドラムかぁ。想像出来ないな。楽しいだろうな、バンド。いつきと磯野さんと一緒。体育座りをしながら校庭で野球をしている男子を見ていながら考えた。楽しいのは分かってる、でも僕にはギターなんか。