第十三章 〜 ハグルマ 〜
P.8
いつきが僕の肩を叩く力が強くてお弁当の煮物がこぼれそうになるくらいだった。
そして磯野さんはノートを下へ置いてお弁当をバッグから取り出した。
小さな銀色の小判みたいな形で、まるで昔の兵隊が持っているようなお弁当箱だった。隠すようにしていて、見るつもりは無かったけど、何気なく見ると中身は、ほぼご飯だけだった。ハジの方に焼き魚が入っていたけど、とても一切れとは言えないくらいの大きさで僕でも一口で食べれる大きさだった。僕はとっさに目をそらした。自分のお弁当も決して豪華なんかじゃない。でも、おかずは毎日ちゃんと入ってるし、一切れのおかずなんてさすがに今まで無かった。
いつきは話に夢中になって見てなかった。