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みんなの心配はついに現実となった。悦子がトレーニング中、激痛に襲われてうずくまってしまった。仁美は断腸の思いで悦子を下級生の佳代(高畠華澄)と交代させた。悦子は艇庫の2階からトレーニングを見守った。「私がおらんほうがよっぽどボートしとる」。その口調には悔しさよりも諦めの響きが強かった。それでも利絵は「悦ネェとこぎたい!」とこだわった。
5人は同じ地元の大学に進学してボートを続けようと誓っていたが、利絵は上京して医学部で学びたい思いにかられていた。「だから悦ネェとこげるんはこれが最後なんよ。一緒にこげたら勝負なんかどうでもええ」。これには多恵子(岩佐真悠子)がカッとなった。「そんなん、間違うとる!」。どちらの言い分もわかるだけに敦子(佐津川愛美)と真由美(藤本静)は何も言えない。
仲間の気持ちを察した悦子は退部の意思を仁美に伝えた。「あなたがどんなに一生懸命だったか、みんな知っとるよ」。仁美に肩を抱かれると、悦子の目の前に広がるいつもの海が涙にかすんだ。とても面と向かって挨拶はできそうもなかったから、悦子は仲間への置手紙に「みんなの勝利を祈ってます」と記した。そして悦子の琵琶湖行きをあんなに楽しみにしていた幸雄のショックぶりも大きかった。 >>
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