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悦子(鈴木杏)たちはついに県大会で決勝にまで勝ち進んだ。一足先に琵琶湖で開催される全国大会行きを決めた男子部員の前では「ここまでこれただけで十分や」と余裕ぶって見せたが、本心はここまできたからにはどうしても勝ちたい。そこで仁美(石田ゆり子)はイチかバチか、先行逃げ切りの勝負を指示した。松山第一はスタートと同時に飛び出した。かたやちえみ(関めぐみ)率いる新海はまったくペースを変えずについてくる。600を超えて悦子たちはラストスパートをかけた。「力の全部でこごうっ!私らのボートはまだまだ終わらんっ!」。新海がどんどん追い上げてきた。しかし松山第一は勝った。「あいつら、やりよった」。観客席の浩之(錦戸亮)と三郎(田口淳之介)、そして幸雄(大杉漣)と根本(小日向文世)らは抱き合って喜びを爆発させた。そんな喧騒をよそに敦子(佐津川愛美)は悦子の様子がおかしいことに気づいた。「どうしたん?悦ネェ」。腰をおそう激痛で微動もできなかったのだ。
悦子はつとめて元気にふるまったが、痛みは日増しに激しくなるばかり。耐え切れず近所の医院を訪ねると、担当医の田宮(浅野和之)からぎっくり腰と診断された。もちろんボートなど厳禁だが、悦子は付き添ってくれた三郎に「琵琶湖までは言わんといて」と口止めした。しかしトレーニングを始めると悦子の不調は誰の目にも明らかだった。三郎はたまらず浩之に打ち明けた。「ボート、辞めろと言われたんやろ」。医者からはこのまま続ければ大事になると指摘された。けれど悦子は「大丈夫です」と譲らない。仲間たちも動揺を隠して「うちらがカバーするけん」と悲壮な決意をした。とりわけ利絵(相武紗季)は「このまま5人でやります」と言い切った。仁美は5人の意思を尊重したが心配でしかたない。もう1人落ちつかないのが幸雄だ。就職の面接に落ち続けている姉の法子(浅見れいな)そっちのけで「まだ腰、治らんか?」と悦子のことが気が気でない。 >>
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