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敦子(佐津川愛美)が仲間のために靴下を編みはじめたのを見て、男子キャプテンの安田(北条隆博)は「優しいええ子よなあ」と感激した。もちろんチームメイトの利絵(相武紗季)も多恵子(岩佐真悠子)も真由美(藤本静)も喜んだが、悦子(鈴木杏)だけは一学期の通知表があまりにも悪くて浮かない表情。しかし新人戦が間近に迫ってきたから落ち込んでなんかいられない。コーチの大野(池内博之)は浩之(錦戸亮)を男子チームの補欠に抜てき、目標は決勝進出だ。悦子も負けじと「決勝進出めざして、がんばっていきまっしょい!」とぶち上げた。
新人戦レースでは1キロこぐ。「とりあえず完走めざそうや」。まだフォームは硬いし、オールも揃っていないが、ボートは次第にスピードを増していった。最初は「キャッチ、ロー」と掛け声だった敦子も次第にエキサイトしてきて「こげーっ!」と絶叫。悦子も必死にこぎながら「新人戦、絶対勝とう、ファイト!」と自らにカツをいれた。
練習が終わればボート部員は男女そろって、いつものお好み焼き屋へ。安田が男子部員たちに代々伝わる声がけでゲキを飛ばしているのを横目に、女子部員たちは主人夫婦の根本(小日向文世)と緑(友近)相手におしゃべりに夢中だった。満腹になった帰り道、悦子は敦子に「あれは今も変わらへん?」と念を押した。敦子の家庭は母親がいないので新人戦が終わればボート部を辞めると伝えていたのだ。「残念やけど」。みんな寂しいが、こればかりは仕方ない。
大野が女子部のトレーニングを見てくれたおかげで、悦子がチームの補強ポイントであることが分かった。「お前だけが筋力も持久力も劣っとる」。特別メニューを手渡されて「お前が大穴や」と断言されては、さすがの悦子もガックリきた。仲間の前では「もちろんやるよ、チームのためやもん」と明るさを装ったが、勉強もスポーツもできる姉の法子(浅見れいな)と比較されると面白くない。おまけに母親の友子(市毛良枝)と祖母のキヌ(花原照子)がかばってくれても、通知表の悪さで父親の幸雄(大杉漣)をまたまた怒らせてしまったとあっては、気分は滅入るばかりだ。 >>
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