がんばっていきまっしょい
Story/あらすじ
はじめに
第一艇
第二艇
第三艇
第四艇
特別艇
第五艇
第六艇
第七艇
第八艇
第九艇
最終艇
 
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  『だいいちこー、がんばっていきまっしょい!』『ショイ!』
『もひとーつ、がんばっていきまっしょい!』『ショイ!』


晴れやかな声が、体育館の中に響く入学式。その新入生の中の篠村悦子の顔は希望に溢れていた。

悦子は、受験の終わった春休み、ちょっとした家出の最中に見たあの光景が忘れられなかった。瀬戸内の海に夕日が照らし出した4人漕ぎのボート。ピタッとシンクロし波を裂くオールの力強い導線が…。

そして彼女は、始業式の後すぐに職員室に駆け込んだ。『ボート、やりたいです!』…。『ボート部はあるけど、女子の部はないぞ』『じゃあ、作ります女子ボート部。作りたいんです!』

悦子の、高校生活が今、始まった。

悦子はもともと誰からも期待されていなかった。両親の関心は、京都大学に進んだ優秀な姉がいつも独占していた。中3の追い込みの時期になって、猛烈に勉強し、何とか姉と同じ愛媛県立松山第一高に入学したものの、自分がびりっけつで、ぶらさがるようにして入学したことはわかりきっていた。
おまけに、生来の負けず嫌いがたたってか、小さい頃からなぜか、まわりではトラブルばかり。インネンばかりつける女子の先輩とはすぐに対決。あげく、ついたあだ名が『ヤバ姉』だ。“ヤバい”は愛媛弁で“強い”とか“怖い”ということ。女の子が人様に自慢できる由来ではない。

そして…不安的中。さっそく悦子は落ちこぼれた。どの科目も、『雪だるま』状態、つまり、手も足も出ない状態。もうひとつ、ゆゆしき事態が発覚した。 >>
 
 
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