がんばっていきまっしょい
Story/あらすじ
はじめに
第一艇
第二艇
第三艇
第四艇
特別艇
第五艇
第六艇
第七艇
第八艇
第九艇
最終艇
第五艇
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   ぶつかったのは田中ちえみ(関めぐみ)率いる新海高校の女子クルーだった。どちらにもケガ人は出なかったが、新海高校のボートに大きな亀裂ができてしまった。修理代は1人5万円。悦子は母親の友子(市毛良枝)に泣きついたが「そんな大金」とつれない返事。あとは父親の幸雄(大杉漣)に頼るしかないが、祖母のキヌ(花原照子)に「今はやめとき」と耳打ちされた。長女の法子(浅見れいな)から結婚を考えている恋人のいることを打ち明けられて、すっかり落ち込んでいるという。じじつ幸雄から「お前はこの家おりゃぁえぇ」と声をかけられて悦子はびっくりした。そんな優しい言葉をかけられたのは初めてだった。

 結局誰も5万円を用意できなかった。5人が部室で肩を落としていると、顧問の福田(相島一之)が「問題解決したぞ」とやって来た。修理代はいらない代わりに、新海女子ボート部では雑用係をしてほしいという。琵琶湖で開催される全国大会にむけて人手が足りないらしい。ライバルチームの雑用係とは屈辱的だが、悦子たちは男子部のトレーニングを横目に見ながら新海高校のボート用具を運びだした。さんざんこき使われて自分たちのトレーニングはできずに1日が暮れた。

 いつまでも口をきかない男女ボート部員に業を煮やした根本(小日向文世)がOB会の開催を思いついた。準備を一緒にさせれば、OBの前でケンカしているところを見せるわけにもいかないはず。仁美からも「いい加減、歩み寄らな」と諭されて悦子は折れた。会場は根本のお好み焼き屋。(友近)も手伝ってくれて悦子たちがコップを並べていると、次々とOBたちがやって来た。ところが男子部員が来ない。悦子が部室に呼びに行くとイメージトレーニングの真っ最中。どの顔も脳裏に波を思い描いて真剣そのもの。「もうOB会なんですが」「うるさい、集中できんやろが!」。浩之に怒鳴られたら悦子は怒りをこらえて部室をあとにした。

 結局男子部がお好み焼き屋についたとき、悦子たちの姿はなかった。大野から「怒って帰ってしまったぞ」とたしなめられても、浩之は「いま大事なのは勝つことです」と言い放った。すると根本がにぎやかに盛り上がっているOBたちを指さして「勝つことだけがボートやないんやけどな」とぽつりともらした。長い人生のたった3年間一緒に頑張っただけで、いつまでも話しあえる。ボートはそんな時間をくれる。「なのに将来、お前らの代だけ。あんな風に集まれんかったら寂しいよなぁ」。根本のつぶやきにも似た嘆きに、男子部員はしんとなった。 >>
 
 
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