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悦子は翌朝早起きするとランニングを始めたが、途中で疲れてしまいバスで帰ってきた。それでも大野から手渡されたメニューには○印をつけたが、ふがいない自分がうらめしい。ボート部のトレーニングも悦子だけは別メニューだが、気力が体力におっつかない。部室で落ち込んでいると戻ってきた利絵たちから気になることを聞いた。砂浜で新海高校ボート部の女子部員たちと会った。その中の田中ちえみ(関めぐみ)はボート留学の経験もある有力選手だという。
その新海ボート部が悦子たちの前に立ちはだかることになった。新人戦の予選第一レースは、宇和松女子、新海、そして松山第一の3チーム。宇和松女子は前回予選敗退でつけいるすきがあるが、新海は2大会連続優勝の強豪だ。福田は「お前ら、勝つ気なんか?」と呆れたが、悦子は「頑張らんといけんね」と闘志を燃やした。しかし相変わらず特別メニューをこなすことができない。だから敦子と同じく新人戦が終わればひそかに退部を決めていた利絵から「頑張っとる悦ネェに私ら、ついていくけんね」と打ち明けられて、たまらなく後ろめたくなった。
悦子が嘘の○印をつけたチェック表をぼんやり見つめていると、浩之から「何ダラけとんじゃ」とからかわれた。悦子の焦燥感に気づいた浩之は「俺みたいになるぞ」と、中学まで続けていたサッカーを辞めた理由を打ち明けた。浩之の苦渋にみちた告白は悦子の胸にも痛かった。
新人戦を明日に控えて真新しいユニフォームが届いた。敦子がそろった5人でボートをこげるのも明日で最後だ。一瞬しんとなった5人だったが、多恵子は「あれやろや」と悦子を促した。「明日の新人戦、がんばりまっしょい!」。円陣を組むと一斉に「しょい!」と気勢を上げた。いよいよ新人戦の朝がやってきた。
福田と大野に引率された男女ボート部員を乗せたマイクロバスは山あいの道をのぼって、試合会場のダム湖についた。応援席には早くもたくさんの人がつめかけている。根本はビニールシートを広げて陣取りをしている。近くには仁美(石田ゆり子)の姿もある。
ボートに乗り込んだ悦子たちは「重い!」と悲鳴をあげた。水質が違うからオールが重いのだ。「リラックスしていこうや!」と言った悦子はオールを逆に持っていた。応援の太鼓の音がさらに緊張を高めていく。「間に合った」応援席に法子、友子、キヌがようやく到着すると同時に、女子予選第一レースのスタートを告げるアナウンスが響いた。 >>
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