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釈然としない悦子が居間をのぞくと、両親の幸雄(大杉漣)と友子(市毛良枝)、祖母のキヌ(花原照子)、そして姉の法子(浅見れいな)の全員そろってカラオケに出かけるところ。法子は「行こう」と誘ってくれたが、幸雄が「行くんか、お前も」とぶっきらぼうに言ったものだから、悦子は「行かん」とすねた。とにかく悦子には父親が姉のことばかり可愛がっているのが気にくわない。いつもの意地の張り合いに法子たちはやれやれと顔を見合わせた。結局悦子は1人留守番することになった。
翌朝悦子は「待っとるけん」と多恵子を誘ったが、利絵は険しい表情で「あの子にこだわるんならキャプテンとして認めんよ」とピシャリと言った。ショックな出来事はそれだけではなかった。数学のテストがクラス最下位で追試を命じられた。合格点が取れなかったら補習授業を受けなければならない。「その間部活は一切禁止!」。担任の佐野(菊池均也)に言われて悦子は呆然となった。
敦子らは「何でも聞いてな」と励ましてくれたが、悦子は「大ピンチや」としょげかえった。そのころ、仁美(石田ゆり子)はお好み焼き屋でビールを飲みながら、根本(小日向文世)とその妻緑(友近)に不満をもらしていた。根本に勧められて女子ボート部の様子をこっそり見に行ったのだが、トレーニングとは名ばかりでお遊びにしか見えない。「新人戦なんて無理。いつもフルプレッシャーでこがないかん」。仁美は険しい表情になったが、根本は「楽しめるいうんも才能のうちや思うんよ」と微笑んだ。
利絵たちは男子部対抗ビーチフラッグ大会にあわせて、女子ボート部への入部を呼びかけるチラシを作った。応援にやってくる女子たちに配るのだ。レースは各部から選抜された3人ずつで勝敗を決する。ボート部の浩之はラグビー部の三郎にだけは負けたくない。三郎はレース直前でも涼しい顔で読書。しかもライバル心をむきだしにする浩之に対して「その熱さがうらやましい」と余裕の笑顔を返してきた。
両部対抗のレースがいざスタートする時になって、多恵子が突然現れると「父さんに何言うたんよ!」と利絵の肩をつかんだ。昨日夕方多恵子の父親がボート部にやって来た。たまたま応対した利絵は多恵子が部活をしないで仲間と夜遊びしていると伝えた。「お金持ちのお嬢さんは何してもえぇ思てるんやろ?」。利絵がまくしたてると多恵子はさえぎるように「うちなんてもう終わっとる」ともらした。父親には愛人がおり、母親の顔はもう何ヶ月も見ていない。しかも両親が顔を合わせればケンカばかり。「それでも恵まれとる言うんか!お嬢さんはどっちよ!」。多恵子は語気荒くはき捨てると行ってしまった。悦子たちは多恵子の意外な素顔に言葉を失った。そしてフラッグレースでは、やはり浩之は三郎にかなわなかった。 >>
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