がんばっていきまっしょい
Story/あらすじ
はじめに
第一艇
第二艇
第三艇
第四艇
特別艇
第五艇
第六艇
第七艇
第八艇
第九艇
最終艇
第一艇
 
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  山積みのままの洗濯物の山を見て男子部員たちが首をかしげた。「必ず女子部作りますけん、それまで練習混ぜてください」。みんな悦子をマネージャー志望と思い込んでいたのだ。
悦子が帰宅するともう夕食の真っ最中。家族は自宅でクリーニング店をしている幸雄(大杉漣)と友子(市毛良枝)の両親と、祖母のキヌ(花原照子)。そして大学生の姉の法子(浅見れいな)が帰省していた。久しぶりに家族全員そろったのに悦子が心はずまないのは、父親の幸雄と冷戦状態が続いているから。昔から幸雄はできのいい法子ばかりひいきしてきた。だから悦子は頑張って一高に合格してホメてもらえると期待していたのに、幸雄の口から返ってきたのは学費の苦労だった。それで嫌気がさして自転車で家出したのだ。その落ち込んでいた悦子を励ましてくれたのがボートだった。その感動を忘れないために悦子はそのときの砂浜の砂を入れた小瓶を大切に持っていた

 悦子は利絵から多恵子を避けている理由を打ち明けられた。2人は同じ塾に通っていたが、多恵子が入試でカンニングしているのを利絵は試験官にチクったのだ。「あの子、ほんとはできるんよ。なのにいつも投げやりで許せんかった。まさか同じ高校になるなんて」と利絵はため息をついた。クラスは違うとはいえ、いつまでも顔を合わさずにいられるものではない。
 悦子は女子ボート部のメンバーを集めることしか頭にないから、初めての数学のテストはさんざんの結果だった。「むずかしかったなあ」とトイレで利絵とぼやきあっていると、多恵子とばったり出くわした。身構える利絵に対して、多恵子は意外にも「あの時はチクッてくれてありがとな」とこだわりのない笑顔を向けた。ところがこれにカチンときた利絵が「この学校入る時はうまいことやったんやな」と返したものだから一瞬にして険悪なムードになった。悦子は「何すんの、したらいかん」と必死に止めようとしたが、多恵子たちは利絵を個室に閉じ込めると、頭からバケツの水を浴びせかけてしまった

 悦子は利絵を助けられずにぼんやりと悔やんでいると、福田からボート部の先輩夫婦を紹介された。現役ボート選手の大野健(池内博之)と妻の仁美(石田ゆり子)。夫婦そろって一高のOBで、しかも仁美は女子部ボート部があった頃の最後の部員だ。悦子は大野から「乗ってみるか?」と誘われて驚いたが、気がつくとカウンターをもたされてボートの最後尾に収まっていた。 >>
 
 
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