がんばっていきまっしょい
reports/一高ボート部通信
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 悦子たちを魅了しているボート競技ですが、「がんばっていきまっしょい」で初めてボート競技を見るという人も多いと思います。そんな人のために、ボート競技がよくわかる“がんばっていきまっしょい流ボート競技講座”を開講。講師はドラマでボート指導を担当している武良美恵さん。ボート競技のこと、鈴木杏ちゃんら部員たちの様子を教えてもらいました!

【種目について】
 高校生の競技は3種類です。1人で漕ぐシングルスカル、2人で漕ぐダブルスカル、漕ぐ人4人と舵取り1人のクオドルプル。悦子たちが行っているのは、クオドルプルとなります。5人乗りの艇は大きいのでバランスを取りやすい反面、スピードを出そうとするとみんなで動きを合わせないと、その部分が逆にブレーキとして作用してしまってなかなか進まないという難しさあります。それに加え、人が多いとそれだけ重くなるので力は必要になってきます。

【ポジションと役割】
●コックス[ヒメ担当]
艇の方向の微調整をする舵取りの役目があります。そしてもう1つ大切な役割としてレース運びを指示する司令塔をしなければなりません。漕ぐ人はあまりキョロキョロできないので、周りの状況や対戦相手を見て判断し、作戦を仕掛けるタイミングをはかるというレースの勝敗を左右する大きな任務ですね。単純に掛け声をかけてタイミングを合わせるだけじゃなくて周りを判断して司令を出すので、漕がないぶん頭脳を要求さるポジションです。
●ストローク(整調)[悦ネェ担当]
字のごとく調子を整えるポジションです。整調の動きをみて後ろの3人が動きを合わせるので、リズムのいい動きをする選手が必要とされます。それと同時に漕ぎのテクニックも求められますので、悦子のように信頼と技術、リズミカルな動きある選手が適任です。
●3番[リー担当]、2番[ダッコ担当]
エンジンペアと呼ばれて、力の強い2人が乗ってエンジンの役割りを果たします。前後の2人がテクニックを求められるならば、中の2人は力が求められるポジションです。
●バウ[イモッチ担当]
後ろから全員が見られるわけですから、周りをみて状況を判断して指示ができる、第2のコックス的な役割りがあります。また、波や風が出た時に一番影響を受けやすいので、それに対するテクニックも必要になります。

【掛け声について】
 悦子たちが使っている「キャッチ、ロー」という掛け声は、これじゃなきゃいけないという決まったものではありませんが、使用しているところは多いと思います。
“キャッチ”はオールが水に入る部分で水をつかむという意味があり、“ロー”はROW、つまり漕ぐという意味で漕ぎ始めを意味します。水をキャッチして漕いだら、次のローでまた漕ぎ始めるという流れですね。気合いを入れる掛け声だけじゃなく、みんなでタイミングをはかって動きを合わせるという目的もあります。
「イージーオール」は漕ぐのをやめるときの合図になります。

【ボート競技をやるにあたり必要なこと】
 なにより「人よりも速くなりたい。もっとうまくなりまたい」という気持ちが大切だと思います。その気持ちがあれば上達しますし、速くなるという目標が達成されるとさらに上を目指すようになる。このサイクルがうまくいくと、おもしろくもなるし上達しますね。そして個人で上達すると、今度はチームを思いやる気持ちが自然と育まれてくるんです。誰か調子の悪い人がいればフォローしようと、人を思いやる気持ちが出てきます。そういう意味ではチームワークもとても大切ですね。

【ボート競技の魅力と苦労】
 人それぞれですが、魅力の1つは水上からの景色は最初に感動できるポイントだと思います。陸から見てるのとは全然違いますし、競技ボートだと水面が非常に近いので水と一体になれる感覚も味わえます。ほか、チームボートだと全員の動きがそろったときの感覚は、水とチームが一体になったような他では味わえない不思議な感覚があって感動できますね。
ただ全員が動きを合わせることは逆に苦労でもあります。ほか、苦労ではないですが女の子だと日焼けは大変です。どう頑張っても日焼けしてしまいますから。悦子たちもそれは悩みの種のようです(笑)。後は手にマメがたくさんできちゃうのも、つらいことではあるんですが、それは逆をかえせば頑張ってる証拠でもあるんです。

【ボートは努力が確実に実になる競技というのは本当?】
 同じ動きの繰り返しになるので、慣れることはとても大切です。みんなが同じ動きをする中で1センチ、1ミリ単位で速さを争う競技ですので、いかに同じ動きに慣れて対応していくかがステップアップの大きなポイントとなると思います。

【合宿の様子】
 最初に会った時は、みなさんの体の線の細さに驚きました。普段、私が接してるボート部員は体育会系で体がそれなりにできてる人ばかりなので、この子たちに漕がせてケガをしないか不安でした。けれどみなさん役者としてのプロ意識が高くて、短い時間の中で習得しなくちゃいけないという意識からすごく真剣でちょっと教えるとしっかり吸収してくれたので上達はとても早かったです。練習が始まると、思った以上に運動能力が高くて最初の心配はまったく感じさせませんでしたね。鈴木杏ちゃんは運動部の経験すらないと聞いてたのですが、私たちが漕ぐ姿を見てそれを自分の中でイメージして実際に形にするという作業がとてもうまくて驚かされました。

【苦労したことは?】
 初めてのボートということもあってもちろん大変だったとは思うんですが、私には苦労したというより楽しんでるように見えました。練習していく中で楽しむ気持ちはとても大切だし、それがうまく作用して、めきめきと上達してましたよ。

【これから悦子たちの課題】
 これからはレースに向けてスピードを上げることが課題ですね。協調性は充分に出てるので、もっと速い動きを身につければもっともっと上達すると思います。
ただ、これだけの経験でここまで上達しているのは本当にすごいこと。彼女たちの意欲には感動します。打てば響くというかすぐに吸収してくれる、教える私たちにしてもとっても教えがいのあるいい教え子たちです。
 


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