第十六章 〜 グリーフ 〜
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おこる?・・・どうして?なんで怒るんだろう・・・確かにピストルズは家族に聴かせる音楽じゃないような気がするけど。でも怒る?聴いたことが無いはずなのに怒る?どういうことだろう。いつきの家で聴けば一番だけど、貸してもらったのにいつきの家で聴く訳にはいかない・・・・
「じゃぁ、僕の家で聴く?お母さんいるけど、カセットデッキあるよ。」
そう書きながら、内心反応が怖かった。もちろん磯野さんの反応もだけど、もう一つ、お母さんとお父さんの反応。女の子を家に誘う、友達だけど、どうなんだろう、お母さんは家にいるけど、友達だって信じてくれるだろうか。変なこと言わないだろうか。昨日の感じだと、磯野さんへの印象は良いとは言えない。だけど、磯野さんを分かってもらうのは会わせるのが一番のような気がした。きっと分かってくれる。きっと。
そのメモを見せると磯野さんは少し戸惑っていた。顔が見えなくても分かる。まだ知り合って3日目だけど、それぐらいは分かった。そしてまたやってしまった事にも気付いた。そうだ、転んで顔を打ってるんじゃないか、今日は安静にしないと駄目に決まってる。それに買い物だって行かなくちゃ行けないし、音楽なんか聴く暇ないじゃないか。
「やっぱり今日はやめとこう、今日はケガ治さないと。」
急いでノートに書くと磯野さんへ見せる。
『 わかりました 』
その一行だけを最後に会話は終わった。結局また僕は自分の行動で落ち込んでいた。いつもこうだ。