第十六章 〜 グリーフ 〜
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「またせいたろう、煮物かよ。今週は煮物習慣で、来週は魚習慣だろ?はは」
「お母さんに言ってよ、僕が頼んでる訳じゃないんだ。それに美味しいし、飽きないんだ。」
早めに食べておじいちゃんのところへ行くと決めて僕といつきは慌ててお弁当を食べていた。いつきは気付いていないようだけど、磯野さんのお弁当は今日も日の丸弁当に小さなおかずだけだった。
「失礼しまーす。」
相変わらずいつきが先頭で、僕らはお爺ちゃんのところへ。
「おぉ、もう来たのか。さすがにそんなに早く結果は出ないよ。でも職員会議で話したが、何とかなりそうだ。というか、私がなんとかしたいと思っている。教員人生最後の年くらい、なんとか生徒の助けになりたいからなぁ。」
「やった!本当ですか!」
「大きな声は出すな、まだ決まってないことなんだから。それにいい意味で、渡辺はこの学校というか、この町に貢献しているからな。名前を出せば賛成してくれる先生が多いと思うよ。」
「ははは、ほら見ろ!俺がいるとこういう時って有利だよな。」
「うん。本当にそう思う。ありがとう。」