小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十六章 グリーフ

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第十六章 〜 グリーフ 〜
P.2 

「お父さん、もう行ったの?」

「とっくに行ったわよ、せいたろうも早く食べて準備しないと遅刻するわよ。それと、昨日話したこと、磯野さんの娘さんに聞けたら聞いとくのよ。」

「分かってるよ・・・」

ボーっとした頭の中、夕べのお味噌汁とご飯を急いで食べ終えて、歯磨きをして学校へ行く。玄関のヘルメットをかぶって外へ出ると、門の外に誰か見える。

「磯野さん!」

思わず声が出てしまって、慌てて玄関を閉める。まだ履けていない運動靴をつま先でなんとか押し込めながら門へ向かう。

「お、おはよう、待っててくれたの?」

返事は無い。でも、何となく昨日とは違う雰囲気だ。この曇り空のせいかも知れないと思って特に気にしなかった。

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