第十六章 〜 グリーフ 〜
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「でさ、今日もお爺ちゃんのところ行ってみようぜ、進展あったかもしれないしさ。」
「うん、僕は平気だけど、磯野さんは今日・・・行けそう?」
『 今日は帰ります 』
そう書いてあるメモ帳の文字はいつもより、より一層細くて綺麗な字が書いてあった。
「そっかぁ、今日ドラム練習しようと思ってたのになぁ。まっ、いっか、引っ越してきたばっかだもんな。じゃぁ、せいたろう、一緒にやろうぜ。」
「・・・やっぱり僕も今日用事あったんだ、お母さんに用事頼まれてたの忘れてた。」
「なんだよ・・・昨日せっかく運命の世界ズ結成したのに早速休みかよ・・・」
「ごめん、でも明日もあるしさ。先生にはお昼休み聞けばいいじゃんか。それに磯野さんまだ聴けてないって言うし、聴いてからの方がいいんじゃない?」
「そうだなぁ・・・確かにそうだ!じゃぁ今日はまっすぐ帰るか。」
そんな会話をしながら教室へ向かう時も、磯野さんに何か違和感を感じた。何か雰囲気が違ってた。それが何かって言われたら答えられないんだけど。