第九章 〜スピーク〜
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『 カセットデッキ もってないから聞けません 』
二人顔を見合わせて文字を読み返した。でもいつきはすぐに答えた。
「そっか、じゃぁいいよ、俺の貸すよ。何台かあるし。絶対、気にいってくれると思うんだよね!」
磯野さんが答えた・・・・そうか、話せなくても話すことって出来るんだ。そうだよ、口が無くたっていくらでも話せるんだ。磯野さんの顔は相変わらず見えないけど、いつきと文字でやりとりする様子は、何も変わらなかった。僕といつきが話すのと一緒だった。
でも・・・いつきが僕に話をふってきても、さっきのやりとりで傷つけてしまったことがずっと引っかかっていた。なんであんな事を言ってしまったんだろうってずっと引っかかっていた。出来るだけ笑顔を作りたかったけど、苦笑いしかしていなかった。いや苦笑いも出来てなかったかもしれない。