小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十八章 雨のち・・・

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第十八章 〜 雨のち・・・ 〜
P.4 

「せいたろう!!ビックリさせんなよ!こっちに向かってくる人いるから、追い剝ぎかと思ったよ!どうしたんだよ、こんな夜中に!」

「こ、こっちのセリフだよ・・・なんで・・こんな時間にいつき歩いてるんだよ!」

「いや、なんか眠れなくてさ。ベース弾いてたんだけど、行き詰ったし、雲も晴れたから外出ようと思ってさ。たまにこうやって夜中に歩くんだよ。けっこう気持ち良いぜ。カエルがうるさいけどな。ははは」

「そうなんだ・・・僕もビックリしたよ・・・外見たらいつきいるんだもん」

「ってか、ランニング短パンにスニーカーって、せいたろうの寝巻きすげぇな、誰かに見つかったら笑い者だぞ、ははは。」

「大きな声出すなよ、お父さんたち起きちゃうよ」

「おっと、ごめん。でもこのカエルの声だし、誰も起きないだろ。せっかくだしさ、散歩しながら少し話そうぜ。」

「・・・うん。」

「でさぁ、そん時にシドがやっちゃったんだって。それで活動出来なくなってさ・・・」

「・・・あぁ、そうなんだ・・・」

「なんだよ、さっきから。眠いなら帰ろうぜ。無理して付き合わなくていいんだぞ。」

「違う。違うんだよ。」

「どうしたんだよ。・・・・磯野さんのことか?」

「・・・うん・・・」

「そっか・・・じゃぁ、そこ座ろうぜ。」

そこは磯野さんと二人で話した柿の木だった。夜だと印象が違う。なんだか物語の中にいるようだった。そして、いつきといられるのがなんだか安心した。

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