小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二章 「せ」と「い」

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第二章 〜「せ」と「い」〜
P.7 

「知ってると思うけど僕は渡辺いつき。同じ色のヘルメットをしてるから君も1年生か。2組なんだね、君を見たことはあるよ、でも珍しいね、小学校から同じクラスになったことが無いよね。僕はすぐに帰るし、いつもとりまきばっかだから他のクラスの人は知らないんだ。」

「そうなんだ、僕は、のざきせいたろうって言うんだ。政治家みたいな名前だから覚えやすいでしょ。」


そう言うと、いつきは今日、初めて少しだけ笑った。そうと決まれば、他の誰かが学校へ来る前に早く行かないとおかしく思われる。急いで学校の裏へ行き、色々と教えてもらうことになった。どこから入れば見つからないか、警備員の居場所、家が方舟のどこにあるのか、家の中の状況、体育着のありか、色々。本当に色々。

僕は必死にメモを取った。あとから思うと、不思議だった。なんで抵抗も無く行こうと思ったのか。でも、僕が不思議と、その時は何も思わなかった。いや、もしかすると運命ってこういう事を言うのかも知れない。だって・・・。


そして、僕の全てを変える17歳の高校2年生へと続くんだ。

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