小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二章 「せ」と「い」

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第二章 〜「せ」と「い」〜
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第二章 ~「せ」と「い」~

白い四角い学校に今日も皆が集まってくる。併設している体育館も白くて、今にも煙を吐き出しそうだ。山の風景と正反対の景色を今日も映し出している。生徒の人数は各学年2クラスという田舎にしてはまぁまぁの人数。ノアの方舟が出来てこの町も段々と人が増えてきた。けれど誰も自分の未来についてなんか考えもしない。卒業したら方舟で働いて定年を迎える。それがこの町の子ども達の普通の考え方。まるで感情の無い機械だ。僕もそのうちのひとりだったかもしれない。就職先があるならそれが一番いい。たとえ変わらない作業を何十年もするとしても。

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