第十二章 〜 i so no 〜
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「そうなのか、偶然だな。磯野さん、父さんと同じ部署に配属されたんだよ。いや、正確には、システムエンジニアだから同じ部署でもやることは違うんだが。しかし、さすがに本社から来る人はたいしたもんだよ。エンジニアの鏡みたいな人だな。初めて触れる機械なのに、もう新しいプログラムを考えついていた。父さんは組み立てだからよく分からないが、プログラムをすぐに作れるなんてすごいことだよ。
今日は歓迎会をやるつもりだったんだが、プログラムのアイデアが浮かんだとかで、すぐに家に帰ってしまったんだ。まぁ、根っからのエンジニアということで、しかたがないことなのかもしれないな。」
「・・・ね、ねぇ、磯野さんって、どんな感じの人だった?な、なにか特徴は無かった?」
「特徴?」
「そう・・・特徴・・・」
「そうだなぁ・・・特に特徴と言われてもなぁ・・・・」
「髪の毛が白髪だらけとか・・・なにか変わったことなかった?」
「はっはっは、そんなことは無いよ、父さんと同い年くらいかなぁ、今話した通り、エンジニアの鏡みたいな人だよ。無口だけど、仕事は完璧にこなす、やはり、本社もああいう人だらけなんだろうなと思うよ。まぁ大変だと思うよ。この町にきたら誰だって驚くだろうな。」
「そう・・・なんだ・・・」
磯野さんの父親は普通の人・・・じゃぁあの髪の色って・・・なぜ喋れなくなったんだ・・・