第十一章 〜花柄で骨の折れた〜
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「ご、ごめんなさい、あの、傘・・・これ・・・骨折れちゃってるけど・・・僕の・・・あの・・・あげます・・・これ、あげるから!家帰ったら、捨てて!!」
磯野さんがゆっくりと手を伸ばして取った。少しだけふれた磯野さんの指は、少し冷たくて、細いのに柔らかかった。僕の心臓の音がバレたような気がして、慌ててのけぞると、水溜りに引っかかって、転ばないように何歩か遠のく。そのまま、
「じゃ、じゃぁまた明日!!」
と伝えて走ろうとしたその時、磯野さんが何か見せてる。濡れてグシャグシャになった小さなノート。何か書いてあるけど、中々読めない。