South Amboyへの道
今春2nd CDを日本でリリースしたばかりのロックバンド、Phantom's
Operaのキーボード以外のメンバーが住むCrazy Wolf Runchが今日の宿である。ヴォーカルのColieは今回の渡米決定直後に連絡したところ、"ぜひ遊びに来い、メンバー全員大歓迎だ、ギターも用意しておく。"ということであったので、思いっ切り頼ってしまったわけであるが、はてさてニュージャージーのどこら辺に家があるのか皆目見当がつかない。メールでアクセスの方法を訊ねると"ペン駅からニュージャージー・トランジットに乗ってサウス・アンボイまで来れば迎えに行ってやる"とのこと。日本を発つ前の日の彼からのメールにもひと言、"South
Amboy"とあったっけ。
ペン駅で路線図を探すがサウス・アンボイを通っている路線が分からない。Colieが言うにはNorth Corridor線にあるらしかったが、その路線にサウス・アンボイの名前は見つからない。しょうがないので乗車券売り場でチケットを買う際に聞いてみるとする。"サウス・アンボイに行くには何番線に行けば良いの"と訊ねると、"そこの中央階段の上に掲示板が出ていて、そこに表示される"というお答え。掲示板のところに行ってみると、確かに路線、終着駅、乗り場が表示されるている。結局路線が分からないことにはお話にならないのね。今度は終着駅も参考に資料をチェック。ようやく目指す名前を見つけ安堵。問題は日本と違って折り返しの電車が入線しないと、乗り場の番線が表示されないこと。こっちの人は慣れてるから、皆モニターを見つめて待っていたかと思うと一気に目的の乗り場に駆け出していく。私も一度はつられてホームまで駆け降りたが、係員に聞いたら違う路線だと言われてしまった。
結局その電車とほぼ同時刻に入線した電車が正しかったようで、何とか発車時刻寸前に駆け込むことが出来た。次の課題は、そう、駅名のアナウンスを聞き取れるかである。各駅の看板は見えたり見えなかったりとあまり頼りにならないので、車内アナウンスと車掌の肉声に注意しながら進む。"次はSouth
Amboy"。よっしゃ。車掌も確かにSouth Amboyと連呼しながら通り過ぎていった。列車がスピードを落とすと、私は荷物を抱えて出口へと向かったのだった。
勢いよく出口から飛び降りた私。殺伐とした、と言うか何もない、無人駅の光景にちょっと唖然とする。しかし本当に唖然としたのは駅の看板を見た、その時であった。"Perth
Amboy"。ああ、この期に及んで駅名を聞き間違えてしまったのである。それにしてもこんな駅があると知っていない限り、これだけ発音が似ていたら聞き間違えるって。まあ目的の駅は確かに次の駅で、そこまでは電車で5分ほどらしい。ただし次の電車は約1時間後。ならばと駅前を眺めやるとタクシーの待合所が。ところがここのタクシー、乗り合いだったようで、私の他に運ちゃんの友人らしき人、薬中じゃないの、って感じのおっさんと同乗させられてしまった。しかも同じ方向に行く人を集めたわけではなく、たまたま居合わせた人を乗っけていくだけのシステムなので、あっちこっち立ち寄って時間の掛かること。まあぼられもせずに目的地に着けただけめっけものかも知れないけど。
サウス・アンボイについてColieに電話を入れる。ところがこの後電話インタビューが控えているということらしく、迎えに出られない様子。たまたま居合わせたベースのEricのお兄さんが代って迎えに来てくれたけど、無人駅で夕方、一人ぽつねんと待つのは、あまり良い気持ちとは言えなかったなあ。それ程柄のよろしくない黒人の少年達がいつの間にかに側まで寄って来ていたのには、ひやっとさせられた。
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