小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第七章 フルテン

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第七章 〜フルテン〜
P.2 

「せいたろう!昼飯また煮物なのかよ!」

「いいだろ、母さんが昨日作りすぎたんだ。いつきのは?」

「う〜んと・・・おっ!今日は焼肉だ。家政婦さんに魚のお弁当ばっかって言ったからかな。いいだろ、はは」

「別に羨ましくないよ。」

「はは、絶対ウソだろ!やらないからな。ってかさ、昨日の欽ちゃん見たか?あの反応ったら無いよな!絶対あんなのしたら誰でも笑っちゃうって!!」

一緒にいるようになって、いつきは変わった。いや、これが本当のいつきなんだけど、年相応って言うのかな、僕に合わせてくれるのが凄い分かった。でも、うちでは父さんがテレビの主導権を持ってるから欽ちゃんとか見れないんだけど・・・。でも、嬉しかった。いつきがいっつも説明してきて、周りと同じように、笑いながらテレビの話して、長嶋が今シーズンはどこまで打つか、とか、普通の、本当に何気ない会話をするようになってた。それが僕も嬉しかった。憧れていたのかもしれない。そういうのに。

でも結局はバンドの話になるんだけど・・・・。

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