第十章 〜始まりの始まり〜
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あの時の顔、僕は死ぬまで忘れない。忘れられる訳ない。忘れられない。なんて言っていいか分からない。僕の今まで知っている言葉なんかじゃ伝えられないけど、本当なんだ。こんな文字じゃ伝えられないって分かってる、分かったなんて言われても信じない。本当なんだ。ウソじゃない。あの時の全てが。
いつきも同じだった。あぁ、そっか、こんな気持ちなら、確かにそうだろうな。って分かった。少しだけ。あの後にいつだったか、いつきと話した。
「覚えてる?あの時。僕さ、いつきは絶対、そういうと思ったんだ。」
って。・・・でもいつきは、そんなの絶対ウソだ、俺の考えはせいたろうには分からないよ。って言ってた。でも分かったんだ。
いつきが言った。風に負けそうなくらい小さな声だったけど、聞こえた。確かに言った。運ばれてきたその人は間違いなくそのものだったんだ。
「・・・イブ」