小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第十章 始まりの始まり

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第十章 〜始まりの始まり〜
P.6 

あの時の顔、僕は死ぬまで忘れない。忘れられる訳ない。忘れられない。なんて言っていいか分からない。僕の今まで知っている言葉なんかじゃ伝えられないけど、本当なんだ。こんな文字じゃ伝えられないって分かってる、分かったなんて言われても信じない。本当なんだ。ウソじゃない。あの時の全てが。
いつきも同じだった。あぁ、そっか、こんな気持ちなら、確かにそうだろうな。って分かった。少しだけ。あの後にいつだったか、いつきと話した。

「覚えてる?あの時。僕さ、いつきは絶対、そういうと思ったんだ。」

って。・・・でもいつきは、そんなの絶対ウソだ、俺の考えはせいたろうには分からないよ。って言ってた。でも分かったんだ。
いつきが言った。風に負けそうなくらい小さな声だったけど、聞こえた。確かに言った。運ばれてきたその人は間違いなくそのものだったんだ。

「・・・イブ」


第十章 音源 /「雨弓」を聴く


『 雨弓 』

「ハジメマシテ」風が吹いて「サヨウナラ」通り過ぎてく

君を通り抜けた風は 君の香りであふれていた

悲しみまるで虹のよう 始まり終わり見えなくて

虹はまるで君のよう 何色にも見えるのでした

君は虹の子 僕はキノコ



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