第十章 〜始まりの始まり〜
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三人で下駄箱まで向かう時も相変わらず通りかかる生徒は皆、ウワサの転校生を振り返って見る。そして後ろのほうで何か話しているのが聞こえる。僕もいつきも、そして磯野さんも気付いていた。
いつきが言ってたみたいに、やっぱり気になる。でも何でだろう。僕はなんで、いや、人ってなんで、見た目が違うと気になるんだろう。見た目?違う。そうじゃない。
杖、車椅子、目が見えない、耳が聞こえない、年を取ってる、若い、太っている、痩せている、大きい、小さい、かっこいい、かっこ悪い、一重、二重・・・・
なんで僕は磯野さんが気になるんだ?なんで皆、磯野さんを気にするんだ?転校生だから?・・・そうじゃない。喋れないから?髪の毛が灰色だから?顔が見えないから?通り過ぎて行く度にみんなが振り返る姿を見ていると、自分に腹が立ってしょうがなかった。これはイジメと一緒じゃないか・・・僕が勝手に可愛そうだとか仲良くしなきゃとか、勝手に思ってただけじゃないか・・・。
でも来週からどうしよう、一度謝ったほうがいいよな、でもどうやって謝ろう・・・いつきに相談するのも良くない気がするし・・・・