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artist : LONNIE LISTON SMITH & THE COSMIC ECHOES
title : 『 EXPANSIONS 【越境】』
release : 1975年1月
label : FLYING DUTCHMAN (RCA RECORDS)
tracks ( cd ) : (1)EXPANSIONS (2)DESERT NIGHTS (3)SUMMER DAYS (4)VOODOO WOMAN (5)PEACE (6)SHADOWS (7)MY LOVE
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(3) / side B...(4)〜(7)
musicians : LONNIE LISTON SMITH,electric piano(1,4,6,7),electronic keyboard textures(1,4,5,6),acoustic piano(2,5,7) ; DONALD SMITH,vocals(1,5,7),vocal textures(6),flute(2,3,4,6),flute solo(1) ; DAVID HUBBARD,soprano saxophone(2,3,6,7),tenor saxophone(4),alt flute(4,6) ; CECIL McBEE,bass ; LAWRENCE KILLIAN,congas & percussion(except 5) ; LEOPOLDO (LEOPOLDO FLEMING),bongos & percussion(except 5) ; MICHAEL CARVIN,percussion(except 3,5),clavinet(4),drums(5) ; ART GORE,drums(except 5).
producer : BOB THIELE,LONNIE LISTON SMITH
mixer : DAVE WITTMAN,BOB THIELE,LONNIE LISTON SMITH
related website : 未確認(以前あったものは閉鎖された模様)


 本作を手にしたのは、ジャミロクワイもメジャーになってきた'93年、僕がアルバイトをしていた店がクラブ・ミュージック対応の洋楽専門店を出店し、そこに異動してからのことだ。丁度、ジャミロクワイ的な音を探してギル・スコット-ヘロンスティーヴィー・ワンダーを手にし始めていた頃である。本作の(1)を試聴して、すぐに当時再発になったばかりのアナログ盤3タイトルを買った。中でも本作は大のお気に入りで、涼しげな風が吹く夏の日に、窓を開けて部屋に風を入れ、ジャケットを見ながら聴くのが好きだった。


(1)EXPANSIONS  ▲tracks
 言わずと知れた本作きってのキラー・チューンにしてダンス・クラシックの(1)。スパニッシュ・パーカッショニスト(裏ジャケの謝辞の欄にそう紹介してある)のレオポルド・フレミングが刻むトライアングルに導かれ、セシル・マクビーによるベースがうねり始め、徐々にパーカッション、ドラム、シンセ、ワウを掛けたエレクトリック・ピアノが加わって、バック・トラックに全ての面子が揃ったところでロニーの実弟〜ドナルドのヴォーカルが登場、聴き手をいつの間にか“軽い浮遊感を伴った疾走体”に乗せてくれる。
 シンセのヒンヤリとした感触、エレピの瑞々しい質感、スピリチュアルな歌とフルート・ソロといった心地良い要素満載の曲だが、この曲の柱を成しているのは何と言っても延々とループし続けるベース・ラインだろう。一部で(3分44秒のところ)ちょっとだけ違うフレイジングになる以外、ほとんど大きな変化もなくとにかく繰り返す。ベースのパターンがワン・フレイズで完結しているのでワン・コードかと思いきや、Cm9とFm9のツー・コードで構成されている。
 ナット・ヘントフ氏のライナー(以後、文中のライナーはこのライナーのことを指す)の中のロニー本人の発言に拠れば、この歌の内容は「失われゆく平和を人々に認知してもらうための永遠の問いかけ」(大意)のようなものらしい。


(2)DESERT NIGHTS  ▲tracks
 ちょっと不気味なベース・ラインにピアノの弦を直接弾いた音を重ねて神秘的に始まる、8分の6拍子の(2)。その後でアコースティック・ピアノを伴奏のメインにして、ソプラノ・サックス、フルートが静かなアンサンブルを聴かせる。その後のフルート・ソロでは、フルートを自分の声とユニゾンさせながら吹き、それにさらにエフェクトを掛けるという“神秘プレイ”を聴くことができる。ピアノ・ソロにおけるパーカッションとの絡みは、大きな波のウネリを感じさせてくれる。この波は“水”の波ではなく、広大な砂漠に綿々と連なる“砂”の波のような感じがする。
 ライナーには“中東のイメージ云々”と記されているが、僕はそれを見るまでそんなことは意識したことがなかったが、言われてみればそんな気もしてくる。タイトル「砂漠の夜」なだけに、当然といえば当然かもしれない。終盤のソプラノ・サックス・ソロにその辺りのイメージがあるような気もする。
 この曲もツー・コードの繰り返しで、E♭m9とD♭m9で構成されているが、この“m9”とその全音下(ギターで言えば2フレット分下)の“m9”を繰り返すのは、“神秘系”の楽曲を作るのには絶好の定版パターンで、どんなリズムであれ大抵のものは神秘的に聴こえてしまう。


(3)SUMMER DAYS  ▲tracks
 前曲までとは一転して、爽やかな風が吹き渡るようなラテン乗りの軽やかナンバー(3)。この曲でもソプラノ・サックスとフルートのアンサンブルが印象的。僕はこの曲を聴いて爽やかな風が吹き渡るような平原をイメージしてしまったが、ライナーに拠れば、意外にも人種の坩堝である“ニュー・ヨーク賛歌”らしい。
 因みに、こちらは「SUMMER DAYS」だが、次作 『 VISIONS OF A NEW WORLD 』 には「SUMMER NIGHTS」というタイトルの曲がある。当サイトの選曲コーナーの 『 COMFORTABLE LETHARGY 』 で紹介済み。


(4)VOODOO WOMAN  ▲tracks
 こちらも(1)同様、ず〜っと同じベース・ラインで進行する(4)。フルートとアルト・フルート(フルートより音域が低い)のアンサンブルに被さる「ヒーーーーーーー」というシンセの冷たさが心地良くも神秘的。フルートとアルト・フルートの同時ソロ(?)〜エレピ・ソロなどを経て、3分34秒辺りで突如「リンゴ追分」っぽいフレイズ(「花〜びらが〜」という感じ)が顔を出す。ジョン・コルトレインも 『 A LOVE SUPREME 【至上の愛】』 の出だしで「リンゴ追分」のイントロ部分ソックリのフレイズを吹いているし、スカの大御所〜スカタライツもカヴァーしているし、「リンゴ追分」には世界的に何か事情があるのではないだろうか?
 因みに、クラヴィネットはロニーではなくパーカッションのマイケル・カーヴィンが弾いている。


(5)PEACE  ▲tracks
 タイトルそのままに“ピース”なバラード(5)。弟のドナルドが深い安らぎに満ちたヴォーカルを聴かせてくれる。それと、マーヴィン・ゲイの 『 HERE, MY DEAR 【離婚伝説】』 でも聴かれそうなシンセ音がいい。この曲のみ、ドラムがアート・ゴアの代わりに、元はドラマーだったというマイケル・カーヴィンがブラシで演奏している。
 静かな部分では、同じテープに録音した“1つ前のテイク”らしき音が聴こえるのだが、この現象はジャックスの早川義夫のソロ・アルバム 『 かっこいいことはなんてカッコ悪いんだろう 』 他でも聴くことができる。
 この曲、元々ホレス・シルヴァーが作った曲( 『 BLOWIN' THE BLUES AWAY 』 に収録)でトランペットが朗々と歌うバラードなのだが、歌詞はスピリチュアル・ジャズ系の鍵盤奏者(主にピアノ、オルガン)〜ダグ・カーンがカヴァーした際に付けたもので(『 INFANT EYES 』('71年) に収録)、歌は当時のダグの妻〜ジーン・カーンが歌っている。(5)全体のムードはむしろこのダグ・カーンのヴァージョンに近い。
 そして、そのダグ・カーンの 『 INFANT EYES 』 で華麗なドラミングを披露しているのは、誰あろう、前述のマイケル・カーヴィンその人であった。これは単なる偶然とは思えず、ロニーが本作を製作するに当たって、この 『 INFANT EYES 』 から何らかのヒントを得ていたことは容易に想像がつく。


(6)SHADOWS  ▲tracks
 何となく後のロニ・サイズなどで聴かれそうなベース・ラインに、ディレイを掛けて瑞々しくなったエレピやヒンヤリとしたシンセが心地良くも神秘的に絡んでくる(6)。このエレピの、イントロ初っ端のスピーディーでコロコロとした感じがたまらなく良い。その後の薄ボンヤリとしたフルートとアルト・フルートのアンサンブルの感触もイイ。ドラムにも何か“シュウィン、シュウィン”と鳴るようなエフェクトが掛かっている。そんなサウンドでFm9とD♭m9のツー・コードが繰り返される中、スピリチュアルなソロを展開するソプラノ・サックスもまた良し。
 こんなに心地良いのになぜか気分が晴れないのは、ライナー中でロニーが発言しているように、この曲が「人格の内面の“影”を表現した」(大意)ものであるからだろう。ある意味“COMFORTABLE LETHARGY”。


(7)MY LOVE  ▲tracks
 最後はドナルドのヴァーカル入り爽やかチューン(7)。この曲もツー・コード構成でD6・9とCm9を繰り返す。また意外にも、アコースティック・ピアノとエレピが同一曲で演奏されるのは、本作中この曲のみ。エレピによる白玉のコード弾きの中、アコースティック・ピアノはとてもナチュラルなソロを聴かせる。終盤、ユッタリとしたグルーヴの中で繰り広げられる“激しくも静かなドラミング”が面白い。何となくサンタナの 『 CARAVANSERAI 』 を彷彿させる感触がある。


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