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artist : HORACE SILVER QUINTET PLUS J. J. JOHNSON
title : 『 THE CAPE VERDEAN BLUES 』
recorded date : 1965年10月1、22日
label : BLUE NOTE RECORDS
tracks ( cd ) : (1)THE CAPE VERDEAN BLUES (2)THE AFRICAN QUEEN (3)PRETTY EYES (4)NUTVILLE (5)BONITA (6)MO' JOE
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(3) / side B...(4)〜(6)
members : WOODY SHAW,trumpet ; J. J. JOHNSON,trombone ; JOE HENDERSON,tenor sax ; HORACE SILVER,piano ; BOB CRANSHAW,bass ; ROGER HUMPHRIES,drums.
producer : ALFRED LION
related website : 『 Horace Silver Official Website 』(公式サイト)




 ここからの3曲はアナログでいうA面で、ジョー・ヘンダーソン、ウディー・ショウによるテナー・サックス、トランペットの2管編成。全てシルヴァーの作。


(1)THE CAPE VERDEAN BLUES  ▲tracks
 絶えずドラムが転がり続ける中南米系のリズムに、哀愁味を帯びつつもブルージーなメロディーが乗った、、“変則的なサンバ”とも言えそうな曲(1)。それもそのはず、シルヴァー本人によるオリジナルのライナーを読んでみると、この曲には3つの由来があって、その3つとは、まず1つ目は父親の出身地〜ポルトガル領ケイプ・ヴァード諸島の伝承音楽、2つ目は以前リオに滞在した時に学んだブラジルのサンバのリズム、3つ目は懐かしいアメリカのファンキー・ブルーズ、なのだそうだ。そしてこの曲を、ケイプ・ヴァード諸島やブラジルのファンや友人、ファンキー・ブルーズを愛する人々に捧げたいとも言っている。
 曲はいきなりキャッチーなテーマのメロディーから始まり、まずはシルヴァーのソロ。右手が何かフレイズを繰り出すと、左手のコード弾きがそれに応えるという、“コール&レスポンス”形式で進んで行く。
 お次は1拍休んでから「ドゥルルルッ」と絶妙なタイミングで切り込んでくるヘンダーソンのサックス・ソロ。やはり彼の“休み”を意識したソロにはいつもゾクゾクさせられてしまう。
 普通ならこの後にも誰かのソロがありそうなものだが、この曲はハード・バップとしては結構コンパクトで約5分。とても聴き易いサイズとなっている。そのサイズだからというのもあるが、まず曲が良いというのもあって、ついつい何度も聴いてしまう。


(2)THE AFRICAN QUEEN  ▲tracks
 初めのテーマ部はスロウ・テンポで気だるく、時にのどかな印象すら感じるのだが、その奥に何やら暴力的なものを秘めているような気配のするナンバー(2)。
 その予感は、虚無な残響感の中で繰り広げられる、ヘンダーソンのソロで的中する。徐々に禍々しさを増していく様(特に2分52秒辺りから)は圧巻のひと言。ここら辺をブラック・シネマのワン・シーンのBGMとして使ったら、かなりハマると思う。
 2番手ショウのトランペット・ソロは切れ味が鋭い。3番手はシルヴァー本人で、オーソドックスな中にも、わざと半音下のスケールを使ったフレイジングを組み入れたりする。
 この曲にもシルヴァー本人がライナーにコメントを寄せていて、“この曲はアフリカの象牙海岸出身の友人〜PIERRE BILLONに紹介されたアフリカの伝承音楽からひらめきを得た”、“この曲をすべてのアフリカのファンや友人に捧げたい”といった旨のことを述べている。


(3)PRETTY EYES  ▲tracks
 シルヴァーが「初めて“書いて録った”ワルツだ」という(3)。クールでありながら不穏な感じすらするAメロと、気品があり明るい感じのBメロの対比が、絶妙な具合でタイトルを表現しているように思える。
 しかし、ここでもヘンダーソンのソロはワイルデストで、機関銃の如き勢いの場面もある。次のショウのソロも似た勢いの場面があり、思わずこの両名に「おいおい、この曲のタイトルは“プリティー・アイズ”だぞ!」と突っ込みたくなる。シルヴァーは比較的淡々としたソロを展開。


 ここからの3曲はアナログでいうB面で、ヘンダーソン、ショウにJ. J. ジョンソンが加わってテナー・サックス、トランペット、トロンボーンの3管編成となる。(6)を除き、全てシルヴァーの作。


(4)NUTVILLE  ▲tracks
 ラテン的なビートと4ビートを繰り返す、ブッちぎりのスピード感に満ちたリズムに、不協和音的でクールなハーモニーを付けた(4)。とにかくカッコいいのひと言。(1)目当てで買ったつもりが、しばらくはこちらをヘヴィー・ローテイションする羽目になってしまったほどのキラー・チューン。ベース以外の5人がソロを展開するスリリングな曲となっている。そして、ショウとハンフリーズのものを除く各ソロ3コーラス目以降になると、手の空いたホーンのメンバーがそのバックでハーモニーを付けるアイディアもそのスリルに拍車をかけている。曲が終る頃には、心拍数が相当上昇していること請け合い。
 この怒涛のスピードの中、先鋒に名乗りをあげるのは、一番スピードに縁の無さそうな楽器〜トロンボーンのジョンソン。援護射撃とも取れそうなシルヴァーのバッキングと呼応するようなフレイズでスタートするも、もともと速いフレイズには不向きな楽器ゆえ、その後は“スピード”そのものを追いかけるのではなく、“スピード感”を演出するようなソロを展開していく。
 次鋒はショウ。初めはスピードに乗って漂うように始まるが、徐々に錐揉み飛行をする戦闘機のような、幾分アクロバチックなソロになっていく。
 中堅ヘンダーソンは、間を生かしたフレイジングから、スピードそのものに付いていくフレイジングに転換、スリル感満点のソロを披露してくれる。
 副将シルヴァーは静かにスタート。他のメンバーとは違って、流れる雲をピョンピョンと渡っていくような華麗なフレイジングで攻めていく。
 最後、大将に控えるのはドラムスのロジャー・ハンフリーズ。ドラム・ソロにありがちな、曲の進行を止めてしまうような類のソロではなくて、あくまでもこれまでのスピード感を生かしたフレイジングに徹し、極上のブレイク・ビーツを提供してくれる。


(5)BONITA  ▲tracks
 ゆっくりと明滅を繰り返す妖しげな光のようなホーン・セクションが不穏なムードを醸す中、この曲の核とも言えるラテン的ベース・ラインが静かに蠢くスロウ・ナンバー(5)。
 コード進行の一部(Cm7-D7-C#7)が、グリークのペールギュント第1組曲OP.46の中の「IN THE HALL OF THE MOUNTAIN KING 【山の魔王の宮殿にて】」と同じになっているのは偶然なのだろうか。この「IN THE HALL 〜」はデューク・エリントンやサウンヅ・インコーポレイテッド、ザ・フーなどもカヴァーしたちょっとオドロオドロしい曲で、僕が聴いたことがあるのはサウンヅ・インコーポレイテッドのヴァージョン。しかし、リー・モーガンの「TOTEM POLE」(『 THE SIDEWINDER 』 に収録)にも若干似たコード進行があるところを見ると、「IN THE HALL 〜」以外にも何かルーツぽいラテン系の音楽があるのだろうかと思えてくる。
 そんな妖しげなテーマの感じを大切にしたソロを展開していく、シルヴァー、ヘンダーソン、ジョンソン、ショウ。その4人のバックで密かに活躍しているのがハンフリーズのドラミング。時に打ち寄せては引いていく波のように、時に太古の鼓動を蘇らせるかのように、曲を静かに盛り上げてくれる。


(6)MO' JOE  ▲tracks
 威勢の良さと適度な哀愁を兼ね備えた、いわゆるハード・バップなテーマの曲(6)。生き生きと跳ね回るハンフリーズのノリノリの4ビートに乗って、水を得た魚のように泳ぎ回るジョンソン。この曲の作者で、自身の'67年作 『 THE KICKER 』 で再演もしているヘンダーソンは、哀愁を排除するかのようなハード・ボイルドなソロを聴かせ、ショウは“蝶のように舞い蜂のように刺す”。シルヴァーは軽やかな右手フレイズとゴリゴリの低音を使った左手フレイズのコンビネイションで、4ビートのグルーヴのカッコ良さを教えてくれる。最後はクランショウの短いベース・ソロのようなブレイク部を経て再びテーマへ。


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